アムールを自宅に迎えたサニーだが、アンドロイドの彼女をどのように生活させるか悩んでいた。衣食住のうち食については人間と同じようにさせられるのか困っていたのだ。

そこへアムールが助け舟を出した。

「私の体は人間と同じようにできてるので食事は普通にできますよ。」
この言葉を聞いて食の問題は解決した。

翌朝、アムールが目覚めるとサニーは彼女を見て唖然とした。

「一晩でいきなり伸びてるけどどうしたの?」
アムールはボブカットのはずだが突然ロングヘアーになっていたのだ。

「実は私髪型を自在に変えられるのです。長さや色も一瞬で変えられるので変装に役に立つでしょう。今のは寝ぼけてこうなっちゃいましたが。」
アムールはそう言いながら昨日のボブに戻った。

その後二人は顔合わせもかねて街に出た。ルージュやマイケル一家にも気に入られ、特にソレイユに気に入られていた。
そんな中6人は町に新しくできたビルの完成式典を見ていた。式典が終わり、ビルがオープンするとサニー達はさっそく中に入った。
ガラス張りのエレベーターは眺めも良くしばしの絶景を楽しんだ。やがて最上階に到着し、展望に出るとそこには絶景が待っていた。町最大のビルからは遮るものがなく町全体が見渡せた。

すると突然爆発音とともにビルが揺れた。その直後に館内放送が流れ、ガス漏れによる爆発で火災が発生したことが告げられた。サニー達は非常階段で降りようとするが、無情にも炎に阻まれていた。

「これじゃ逃げられないよ。」
サニーは困り果てる。もちろんエレベーターは使用不能だ。しかしアムールは一か八かの賭けに出た。

「私なら水が出せるかもしれません。」
アムールはそう言うと手から放水した。すると炎は消え、サニー達は非常階段で降りて行くが、容赦なく爆発が続いた。やがて外に出るとビル全体に燃え広がっていた。全員避難が完了したかに見えたが、アムールはエレベーターを見て気づいた。

「エレベーターに人が閉じ込められています。」
アムールの言葉に反応してエレベーターを見上げるが、高い位置で見えづらかった。すると中から助けを求める人々が僅かに確認できた。ビルの周囲からは消防車が全力で放水しているが、火の勢いは衰えない。

するとビル内で激しい爆発が起き、衝撃でエレベーターの箱が外に飛び出したのだ。ロープは切れていないが、エレベーターは宙づり状態になってしまいロープが切れて落下したら死傷者の発生は避けられない状況になってしまった。

エレベーターの中はすでにパニック状態ですでに死を覚悟してる者もいた。消防士はクレーンで救出を試みるもエレベーターまで届かなかった。そこで今度はヘリで救助を試みるが、風圧でエレベーターが揺さぶられるうえに接触の危険があり断念した。

時間だけが過ぎていき、火も衰えず燃え続けるビル。もはやこれまでかと思った時だった。

再び爆発が起きるとエレベーターはロープが切れて落下した。するとアムールは我先にとエレベーターに向かい下からキャッチした。アムールのとっさの判断でエレベーターに取り残されていた客は全員救助された。

しかしビルは激しい爆発が続き遂に崩落してしまう。一同はその場から逃げ、負傷者は出たものの幸い死者は出なかった。

その後、ビル崩落の原因が手抜き工事によるものであることが判明し、他の業者によって再建された。一方崩落の原因を作った業者は得意先を失い、そのまま破産したようだ。

そしてアムールは窮地を救った英雄としてもてはやされたそうだ。

終わり

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